有向線分とベクトル
【定義】
有向線分:向きを指定した線分
始点:有向線分 AB における点 A
終点:有向線分 AB における点 B
有向線分の大きさ(長さ):有向線分 AB における線分 AB の長さ
ベクトル:その位置を問題にしないで,向きと大きさだけで定まる量
※有向線分 AB で表されるベクトルを →AB,ベクトル →AB の大きさを |→AB| と書く。また,1つの文字を用いて →a,|→a| と表すこともある。
※2つのベクトル →a,→b が等しい( →a=→b ) ⇔ →a,→b の向きが同じで大きさが等しい:ベクトルの相等
単位ベクトル:大きさが 1 であるベクトル
逆ベクトル:大きさが等しく,向きが反対であるベクトル
※→a に対して,−→a で表される。
零ベクトル( →0 ):大きさが 0 のベクトル
※零ベクトルの向きは考えない。
1次独立:2つのベクトル →a,→b が,→a≠→0,→b≠→0,→a∦→b を満たすこと
ベクトルの演算
→a,→b,実数 k,l に対して
- ベクトルの加法:→a+→b
- ベクトルの減法:→a−→b
- ベクトルの実数倍:k→a
※大きさは |→a| の k 倍,向きは k>0 のときは同じで,k<0 のときは反対
※ k=0 のとき k→a=0→a=→0
【法則】
交換法則
→a+→b=→b+→a
結合法則
(→a+→b)+→c=→a+(→b+→c)
【定理】
逆ベクトルと零ベクトルの性質
- →a+(−→a)=→0
- →a+→0=→a
ベクトルの実数倍の性質
- k(l→a)=(kl)→a
- (k+l)→a=k→a+l→a
- k(→a+→b)=k→a+k→b
ベクトルの平行
【定義】
ベクトルが平行( →a//→b ):→0 でない2つのベクトル →a,→b の向きが同じ,または,反対であること
→a≠→0 のとき,→a と平行な単位ベクトル: →a|→a|,−→a|→a|
ベクトルの平行条件
→a≠→0,→b≠→0 のとき
→a//→b ⇔ →b=k→a となる実数 k が存在する
ベクトルの分解
1次独立な2つのベクトル →a,→b に対して,任意のベクトル →p は実数 s,t を用いて次の形にただ1通りに表される。
→p=s→a+t→b
このことから,k,l,m,n を実数として次の性質が成り立つ。
k→a+l→b=m→a+n→b ⇔ k=m かつ l=n
特に k→a+l→b=→0 ⇔ k=l=0