大学受験対策は質→量
やる気満々な子にありがちなんだけど,これもあれもやろう!と,とにかく勉強量を増やして失敗するパターン。
そのやる気が知的好奇心からきているならしょうがない部分もあるけど,大学に合格したいという気持ちからきているなら一旦冷静になってほしい。
受験に必要なのは戦略。
戦略は,どうすれば合格できるかということを突き詰めて練らなきゃいけない。
正直,高校受験であれば量でカバーする部分がないとは言い切れない。
中学生は上手く勉強できる子とそうでない子がいるからね。
でも,高校生は違う。
勉強の仕方にまでこだわって,限られた時間を最大限有効に使う能力をつけられるはず。
質の高い勉強法を習得した上で,量を増やして実力をつけていく。
それができなきゃ大学受験で成功するのは難しいよ。
学習計画逆算ダイエット
「学習計画逆算ダイエット」というのは,計画をできるだけスリムにする方法。
合格するために必要な最低限の勉強が何かをしっかり確認できれば,そこから肉付けしていくのは自由自在だからね。
あと,計画のスタートは早ければ早いほうがいいよ。
1.目標を決める
当然だけど,これがないと始まらない。
行きたい大学が決まっていないこと自体が時間を無駄にしていると考えよう。
単純に,勉強量を増やすには日数を増やすしかないんだけど,入試の日は決まっているわけだから,スタートの日を早める以外ないよね。
2.入試科目を決める
志望大学が決まったら,入試科目を確認しよう。
センター試験,大学入学共通テスト,2次試験,推薦等,受験方法によって必要な科目は色々だからね。
入試科目を調べたら,どの科目を使うかを決める。
当然,使う科目はなるべく少ないほうがいい。
3.科目ごとの勉強内容を決める
ここが一番難しいんだけど,とにかくまずは過去問を見ること。
実際に見てみないと,ここまでできるようにならなきゃいけない,という実感も湧かないしね。
センター試験,大学入学共通テストと2次試験の両方で使う科目があったら,内容の関連性も確認しよう。
基本的には基礎と応用のような関係になっているとは思うけどね。
次に,過去問に相応しい,最後に使うであろう問題集を手に入れる。
事前にネット等で調べたり,学校や塾の先生に相談してもいいから,実際に本屋さんで手にとってみよう。
それがすでにできそうな内容,ということはないと思うから,続けてその問題集を解くために必要な問題集を探す。
さらにその問題集を解くために必要な問題集を…と,最終的に教科書にたどり着くまで繰り返す。
もちろん,学校で使っている教材も含めてね。
残念ながらこの作業を他人任せにする子が多すぎる。
自分で選ぶ怖さも分かるけど,何より,自分のことを一番分かっているのは自分自身だからね。
学校や塾の先生に相談してもいいけど,行きたい大学の入試について詳しくないなら参考程度にね。
センター試験,大学入学共通テストに関しては詳しい人が多いから信じてもいいけど,難関大を除けば,特定の大学の入試のスペシャリストなんていないと思っていい。
超ベストセラーの赤本(過去問)に「傾向と対策」という項目があるけど,あれもそこまで具体的ではないからね。
あと,塾のオリジナル教材は正直あてにならない。
センター試験,大学入学共通テスト対策や大学別の講座ならいいけど,「国公立2次対策」なんてくくれるほど受験は甘くない。
自分がその大学入試のスペシャリストになるつもりでいよう。
4.計画を立てる
問題集1冊を習得する目安は,定着のための復習も含めて,どの問題集でも最長で3ヶ月。
1科目だけ集中して勉強するということはないから,何冊か並行して使うことになるよ。
そして,問題集を使う前に,入試の傾向に合わせて勉強する内容を絞り込む作業が必要。
受ける大学の入試を分析して,どの分野のどんな問題が出やすいかを自分で確認しよう。
それができたら,よく出る問題,たまに出る問題,出ない問題のバランス(3:2:1くらい)を考えて勉強する内容を絞り込む。
これをきちんと行えば,習得できていない部分から問題が出る,ということも少なくなるからね。
具体的な計画の立て方は以下の記事を参考に。
5.確認
全科目でここまでできたら一段落。
目標の大学に合格するためには何が必要か,ちゃんと整理ができたんじゃないかな?
全体を見て,削れそうな部分,補強したほうがいい部分は勉強していけば自ずと気づけるよ。
とにかく,自分を信じて計画通りに着々と進めよう。
6.学校とのすり合わせ
学校の勉強と受験勉強が両立できないとか,せっかく立てた計画がぶくぶく太っていくのは,これができていないから。
学校の定期試験対策や宿題も大事な勉強。
自分で高校に行くと決めたのだから,最低限の勉強をする責任はある。
特に,入試に関係ない科目だからといって内職をするなんてもってのほかだよ。
むしろ,授業内で定期試験対策ができるくらい集中して取り組めば,結果的に得をするのは自分だからね。
定期試験において,入試科目では満点を目指す。
それ以外の科目は満点を目指せとは言わないけど,平均点以上をとるための勉強を受験勉強の計画に組み込むこと。
宿題に関しては,入試科目の授業で宿題が出されたら,計画にある勉強と置き換えられないか確認しよう。
特に,計画が乱されやすいのは長期休暇。
休みが長いからと,大量の宿題が出されることが多いからね。
だから,宿題に使われる問題集は最初から計画に組み込んでおこう。
あとから問題集が追加されたら,計画の中で使う予定だった問題集と可能なら入れ替える。
あとは,先生の質にもよるけど,そうとう変な先生じゃない限り,完全に無意味な宿題,小テスト,定期試験はないはず。
確かに,学校の授業はその科目全体をまんべんなく習得することに重きをおいているから,そもそも受験対策の授業じゃない。
だから,それも踏まえた上で授業とどう向き合うか,しっかり考えておこう。
こうやって,なるべく計画を太らせず,スリムで有効な計画を維持するんだ。
7.肉付け
スリムな計画が維持できていれば,生活にも余裕ができる。
特に,早くから目標を決めて受験勉強を始めた人は,かなり時間が余るんじゃないかな。
勉強においては定着が一番大事だから,計画を前倒しすればいいというものじゃない。
今日やった問題をもう一度その日に復習するのと,数日後に復習するのでは定着の度合いがまるで違うからね。
それも踏まえた上で,余った時間にはやりたいことをやればいい。
合格をより確実なものにするために新たな勉強を追加してももちろんいいけど,検定とか,将来の役に立ちそうなこととか,学生の間だけお得に気軽にできることなんてたくさんあるからね。
余裕がある状態で結果が出せると自信につながるし,気持ちにも余裕が出てくるはず。
目の前の勉強に囚われすぎず,勉強するためだけに生きているわけじゃないっていうことを実感することも,受験の時期には必要だよ。
まとめ
実は,この計画をスリム化できる能力って一生使える。
というか,この能力がないと,大事な時間を浪費することになる。
好きなことに最大限時間を割くには,そうでないことを最大限削らなきゃいけない。
何かと忙しく,やりたいこともたくさんある学校生活を有意義にするには,計画をたてることで余裕を作り出すこと。
心身ともに健康でないと,長い受験戦争は戦い抜けないよ。