3,4年生がターニングポイント
いきなりですが,勉強に積極的になれるかどうかの境目は3,4年生です。
小学生の授業参観に行ったことがある方なら思い当たる節があるのではないでしょうか。
1,2年生はとても元気に,楽しそうに授業を受けているのですが,5,6年生になると静かに授業を受けるようになります。
授業参観という特別な状況を差し引いても,小学生の授業態度は3,4年生を堺に劇的に変わるんです。
原因はいくつかありますが,一番は個人差が大きくなり,競争心が芽生えるタイミングだからです。
低学年のときは小テスト等の差はそこまで大きくないので,子どもはその差を意識せず,対先生のゲームの点数くらいにしか感じていないと思います。
「先生すごいでしょ!」というセリフが聞かれるのもこの頃だけ。
しかし,学習内容が難しくなるにつれてその差は大きくなり,自分の学力を意識し,周りと比べ初めます。
テストの点数も,自分が何点とったかより,周りの子より上か下かが気になりだします。
すると,勉強を好きであることが恥ずかしい,皆の前で間違えるのが怖い,勉強ができないから嫌い,というような感情を持つようになります。
結果的に,クラス内で温度差が生まれ,5,6年生になると静かに授業を受けるようになります。
この静かな状況は,子どもが落ち着いているというよりは,皆が変わりつつある中で,自分の感情を表に出すことに敏感になっているということです。
子どもが勉強に積極的になるためには,この3,4年生を勉強が好きなまま乗り切る必要があるんです。
3,4年生を迎えるポイント
では,どうやって3,4年生を迎えたらいいのか。
ポイントは2つ。
- 知的好奇心を維持し,子どもの中での価値を上げておく
- 知的好奇心を発散できる場所を確保しておく
です。
知的好奇心を維持し,子どもの中での価値を上げておく
子どもは本来,知的好奇心のかたまりです。
保護者の皆さんは子どもが小さい頃に「なんで?なんで?」と質問攻めにされたことがあるのではないでしょうか?
大事なのはこういった疑問を必ず解決して「解決癖」をつけること。
もし分からなかったら一緒に本やインターネットを使って調べてあげてください。
今はYouTube等で動画が探しやすいので,文字だけでなく,映像でも見せてあげると好奇心がより満たされます。
意味不明な言動であっても,頑張って拾ってあげてください。
自分の気持ちや考えを言葉にするのは子どもにとって難しいんです。
よく分からなかったとしても,間違っていてもいいので解決する姿勢を見せてあげてください。
やりがちですが,「学校の先生に聞いてごらん」は絶対にダメです。
子どもの関心は長く持たないので,なるべく早く解決することが重要ですし,学校の先生に質問するというのは,子どもにとって意外とハードルが高いことですので。
子どもが一番話しやすい相手がずっと保護者であることが理想です。
こうやって「解決癖」をつけないと,子どもは「わからないこと」を放置するようになります。
さらに,それが悪化すると,色々なことに興味を持つことすらなくなります。
大学生になっても将来の夢が持てないのも,興味の持ち方を忘れてしまっている場合が多いです。
これは大げさではありません。
不思議なもので,知的好奇心は一旦途切れると復活させるのが非常に難しいんです。
もちろん,子どもにとって衝撃的な何かがあれば復活しますが,こと勉強となるとそんな衝撃はほぼありません。
現状では学校の先生の授業に期待してもほぼ無駄です。
小学校高学年でも熱狂して授業を受ける,なんて授業ができる先生は本当にまれですし,教育の連続性からいっても無理があります。
ですので,根気強く「解決癖」をつけてあげてください。
解決し続ければ,子どもは自然と解決する方法を覚え,自力で解決できるようになります。
こうやって知的好奇心を維持できていれば,自ずと子どもの中でその価値が高まります。
ゲームやマンガに勝てるかは微妙なところですが,少なくともそれに近い価値が子どもの中にあれば,勉強に対するハードルは感じないはずです。
理想論ではありますが,不可能ではありません。
実際,僕の教え子にも知的好奇心の維持に成功している子はたくさんいます。
知的好奇心を発散できる場所を確保しておく
とはいえ,保護者の方だけで子どもの疑問に対応するには限界があります。
そこで,サポートをしてくれるのが塾や習い事です。
小学校で塾といえば,公文式のようなプリント学習塾が思い浮かぶと思いますが,いきなり勉強一色の塾に子どもを放り込むのも考えものです。
ここであえて学習意欲ではなく知的好奇心という言い方をしているのも,熱中するものが学校の勉強でなくてもいいからです。
もし,学校の勉強が楽しくてしょうがないようならプリント学習塾でもいいですし,英検,数検,漢検等の検定を目標とした塾でもいいと思います。
ただ,集団指導やプリント学習は質問が苦手な子どもにとっては満足できない可能性もあるので,個別指導の塾も候補に入れて,それぞれ体験授業を受けましょう。
判断基準は子どもの笑顔です。
上記のような塾に興味を示さなかった場合,おすすめなのは英会話教室です。
子どもを楽しませるという点では英会話教室の努力はすさまじいですし,勉強で子どもを楽しませようとしてくれる塾はほとんどありませんから。
子どもがはまれば長く続けられますし,何より,入塾できる年齢がかなり低く,授業料も安いのがメリット。
なるべく早く入塾させることで,子どもにとってどこかへ行って勉強することが習慣になるので,他の塾へシフトするハードルが下がります。
ちなみに,勉強系の習い事で根強いそろばんですが,これについては一長一短があるのでこちらの記事もご覧ください。
入塾するタイミングの注意点
保護者の皆さんは,子どもの学力向上や中学受験の対策を目的として塾に通わせたいと思われるかもしれません。
しかし,それでは遅い場合があります。
子どもが苦手意識を持ってから塾に通うと,自分が勉強をできないということを再認識して勉強嫌いが悪化し,塾を監獄のように感じることがあります。
また,中学受験の対策は,それまでの復習,学校の勉強,中学受験対策を並行して学ぶことになります。
例えば,5年生から始めて2年弱,約20ヶ月で合格圏に入るのはかなりシビアなスケジュールになります。
それまでほとんど家で勉強していなかったのに,モチベーションを保ったまま,塾に通い,宿題もこなす生活を続けられるでしょうか。
ですから,子どもが行きたいと言うのであればいつでも構いませんが,保護者の意思で塾に通わせるならなるべく早く,低学年のうちに検討しましょう。
単純に,長い時間をかけて塾の先生と関係を築けるというメリットもありますし。
通塾する回数の注意点
いざ通塾するとなると,週何回通うか決めなければなりません。
集団指導塾ではほぼ決まっていますが,個別指導塾では回数が選べるはずです。
そうなったとき,ぜひ,塾の提案を聞いてみてください。
体験授業,入塾試験,学校の試験結果等を総合的に見て,どれだけ通塾する必要があるかプロが判断してくれたわけですから。
塾側からするとたくさん通ってくれた方が儲かるのは間違いないのですが,結果が伴わなければ退塾となるので,適切な回数を提示してくれるはずです。
また,判断基準の1つに子どもの自学力(自習で学力を伸ばす力)があるのですが,この判断は講師でないとなかなか難しいです。
例えば,自学力が高ければ,週2回,算数,国語の授業を受け,宿題をこなすことで効率よく学力が上がります。
しかし,自学力が低いと,自学力を伸ばす訓練から始めなければなりませんし,最初は週3回,算数の授業を受ける必要がある,ということになります。
自学力は高校受験にも大きく関わってくるので,宿題の量や質だけでなく,適切な自習の仕方まで指導してくれる塾が理想ですね。
ということで,通塾の回数と学力の向上は単純に比例しないので注意が必要です。
目安は,定期試験対策なら1教科週2回で結果が出ると考えてください。
入塾する時期のまとめ
基本は,なるべく早く子どもを塾に通わせ,子どもにとって勉強することが当たり前の状況を作りましょう。
一番は子どもとよく話すこと,保護者の意思で進路を決めるなら2年生まで,です。
以下はあくまで目安です。
A:子どもが2年生以下の場合
入塾を即検討。
英会話教室でもいいので,子どもが笑顔で勉強できる環境を作りましょう。
中学受験をさせるのであれば,並行して低学年から面倒を見てくれる塾を探しましょう。
B:子どもが5年生以上の場合
本人に意思を確認しましょう。
もっと勉強ができるようになりたい,中学受験をしたい,中学受験は嫌だけど中学の内容の先取りをしたい等の意見が聞ければ入塾を検討しましょう。
将来についても理解できる年齢なので,選択肢をしっかり示し,保護者の方の思いも伝えてあげてください。
C:子どもが3,4年生の場合
見極めが非常に難しい年頃なので,子どもをよく観察し,話しましょう。
勉強について本当に何も考えていないようならA,すでに勉強についての考えを持っているならBのような対応をしましょう。