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【インスタント中高数学】第4講 xyzという箱を自由自在に操ろう①【文字式と計算】

【インスタント中高数学】第3講 0より左側にも世界は広がっている【正負の数と計算】
マイナスの世界 小学校まで使っていた数は,小数や分数も含めて上の図のような

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$ 以上の数直線上に表せたよね。 中学校からはその世界が広がることになる。 それが,「

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$ より左の世界」=「マイナスの世界」。 実は,...
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一般化の美

小学校まではほとんどの問題で具体的な数字を使って計算していたけど,中学校からはそれを一般化することが増える。

例えば,「 $800$ 円の $20$ %引きは $640$ 円」の $20%$ の部分に好きな数字が入れられるように一般化すると,「 $800$ 円の $□$ %引きは $8 \times (100-□)$ 円」,というようにね。

一般化というのは,具体的に考えていた部分を箱にして,色々な数を入れられるようにするということ。

これからたくさんの数式を扱うけど,この一般化された数式の美しさを君にも味わってほしいな。

一般化についての詳しい話はあとでするとして,この講では上の式でも出てきた□=箱について学んでいくよ。

小学校ですでに習ったけど,数学では□の代わりに $x$ , $y$ , $z$ 等の文字を使うことになる。

文字を使った簡単な計算や代入はできると思うけど,もっと上手に,自由自在に使いこなせるようになろう。

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文字の種類

数式で文字を使うとき,その文字に意味を持たせて,変数,定数,未知数と呼ばれることがある。

上で書いたように箱で例えると,

  • 変数:色々な数を入れるための箱
  • 定数:入れるものが決まっている箱
  • 未知数:何が入るか分からない箱

数式を見ただけではどの意味なのかはわからないから,あくまでその文字を使った人の考え方次第なんだけどね。

今後,文字に意味をもたせるようなときにそれぞれ触れていくから,今はまだ頭の片隅にあれば十分だよ。

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整式

【定義】

文字式:文字を使って表した式

単項式:数や文字およびそれらを掛け合わせた式

係数:単項式において文字を除いた部分

多項式:単項式の和として表される式

:多項式の各単項式

定数項:多項式において文字を含まない項

同類項:多項式の項の中で文字の部分が同じである項

整式:単項式と多項式

累乗:同じものをいくつか掛ける演算

$\boldsymbol{a^n}$ ( $a$ の $n$ 乗):$a$ を $n$ 個掛けたもの( $n$ は自然数)

指数:$a$ の累乗 $a^n$ における $n$ ( $n$ は自然数)

文字を使って表した式のことを文字式というんだけど,それに関連する用語やルールを確認する前に,小中高で大きく変わる掛け算記号について触れておくね。

小学校では常に「 $\times$ 」を使っていたけど,中学校では「 $\times$ 」を省略していい部分があるということを習い,高校ではそれに加えて「 $\times$ 」の代わりに「 $\cdot$ 」を使うんだ。

高校では複雑で長い数式を扱うから,記号だらけになって見にくくならないようにするためだよ。

もちろん,掛け算を強調したいときや,誤解されないために「 $\times$ 」や「 $\cdot$ 」を使うことはあるからね。

イン数では高校に合わせるから「 $\cdot$ 」を見たら掛け算だと考えよう。

あと,指数に関してはこのあと2段階拡張されるからお楽しみに。

続いて,文字式のルールを確認しよう。

文字式のルール

積の表し方

  • 乗法の記号「 $\times$ 」,「 $\cdot$ 」を省く。
    例) $5 \times a=5 \cdot a=5a$
  • 数と文字の積は,数を文字の前に置く。
    例) $x \times (-3)=-3x$
  • 異なる文字の積は,文字をアルファベット順に並べる。
    例) $a \times c \times b=abc$
  • 同じ文字の積は,指数を使って表す。
    例) $x \times x=x^2$

商の表し方

  • 除法の記号「 $\div$ 」を省き,分数の形でかく。
    例) $a \div 2=\frac{a}{2}$

これらのルールに則ると,$5 \div a \times b \div 3= \displaystyle \frac{5b}{3a}$ といったように,数式をすっきり表すことができる。

それじゃあ,関連する用語の確認をしていこう。

まず,$-5xy^2$ のように数や文字およびそれらを掛け合わせた式を単項式といい,単項式から文字を除いた $-5$ を係数というんだけど,ここでさっそく大事なキーワードがある。

これからは, $-5xy^2$ にも $x$ と $y$ が入っているように2つ以上の文字を使うことがあるんだけど,どの文字に「着目」するかによって,これ以降の考え方が変わってくる。

着目するというのは,その文字以外は文字でないと考えること。

例えば,$-5xy^2$ という単項式において $x$ に着目すると,係数は $x$ 以外だから $-5y^2$ ということになるし,$y$ に着目すれば係数は $-5x$ になる。

この講の最初にも書いたけど,文字というのは箱なんだ。

だから,どの箱に何を入れるかというのは自分で決めることができるし,使う箱以外は他の数と同じように扱うこともできるということ。

続いて,$-5xy^2+3x^3+4y^2-7$ のように単項式の和として表される式を多項式といい,それぞれの単項式 $-5xy^2$ , $3x^3$ , $4y^2$ , $-7$ を多項式の項という。

また,多項式において着目した文字を含まない項を定数項,着目した文字の部分が同じ項を同類項という。

例えば, $-5xy^2+3x^3+4y^2-7$ において $y$ に着目すると, $3x^3$ と $-7$ が定数項, $-5xy^2$ と $4y^2$ が同類項ということになる。

そして,単項式と多項式を合わせて整式というから,「 $=$ 」の入っていない式はすべて整式だね。

最後に文字式と整式の関係について。

文字式は文字を含んだすべての式のことなんだけど,整式は文字が含まれているとは限らない,かつ,「 $=$ 」が含まれていない式のこと。

$7$ だけでも整式といえるからね。

つまり,文字式の集合と整式の集合は共通部分はあるものの,一方がもう一方の部分集合というわけではないんだ。

こういったことを考えるときにも,第2講の集合と論証は大事だよ。

ここからは,「 $=$ 」を含んだ式を考えないから,整式と表現するね。

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整式の計算

今までの計算と大きく異なるのは,同類項は必ずまとめるということ。

それ以外は演算記号に則って,今までと同じように計算すれば大丈夫だよ。

整式の計算

  • ※要注意※ 同類項は分配法則を使って1つの項にまとめる
    例) $3a+2a=(3+2)a=5a$
  • (単項式) $\boldsymbol{+}$ (単項式):文字の部分が同じ単項式であれば分配法則を使って1つの項にまとめるが,そうでなければ何もしない。
  • (単項式) $\boldsymbol{-}$ (単項式):引く式の符号を変え,加法と同様に計算する。
  • (単項式) $\boldsymbol{ \cdot }$ (単項式):係数の積,文字の積をそれぞれ求め,それらを掛け合わせる。
  • (単項式) $\boldsymbol{ \div }$ (単項式):分数に直して乗法と同様に計算し,約分できるときはする。
  • (多項式) $\boldsymbol{+}$ (多項式):式の各項をすべて加え,同類項をまとめる。
  • (多項式) $\boldsymbol{-}$ (多項式):引く式の各項の符号を変え,加法と同様に計算する。
  • (多項式) $\boldsymbol{ \cdot }$ (単項式):分配法則を使って計算する。
  • (多項式) $\boldsymbol{ \div }$ (単項式):割る式を逆数にして,分配法則を使って計算する。
  • (単項式) $\boldsymbol{ \div }$ (多項式):分数に直す。
  • 縦書きの計算:下のように,同類項をそろえて縦書きに計算してもよい。
    例) $(2x^2-3)+(-x^2+5x+3)$ の場合

    $\begin{array}{rrrr} & 2x^2 & & -3 \\ +) & -x^2 & +5x & +3 \\ \hline & x^2 & +5x \end{array}$

ここで一つ考え方を変えてほしいのが括弧の扱い方。

小学校までは「括弧=先に計算する」という意味合いが強かったけど,中学校以降は括弧の中に文字が入っていて計算できない場合が多い。

当然,上の(多項式) $\cdot$ (単項式)のパターンのように分配法則を使って括弧をはずすことはできるんだけど,意図的にはずさない場合もある。

だから,これからは「括弧=塊」だと考えてほしい。

この考え方が変えられないと,なかなか整式の計算がスムーズにいかないからね。

あと,整式の加法と乗法では計算の基本法則が成り立つから確認しておこう。

【定理】

整式 $A$ , $B$ , $C$ について,

整式の加法の交換法則

$A+B$ $=B+A$

整式の乗法の交換法則

$AB=BA$

整式の加法の結合法則

$(A+B)+C$ $=A+(B+C)$

整式の乗法の結合法則

$(AB)C$ $=A(BC)$

整式の分配法則

$A(B+C)$ $=AB+AC$ $(A+B)C$ $=AC+BC$

数のときと同様に,減法は加法,除法は乗法に直せばこれらの法則が成り立つよ。

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式の値

【定義】

代入:式の中の文字を数で置き換えること。

式の値:代入して計算した結果。

文字を箱だと考えたとき,箱の中に数を入れることを代入という。

代入することで,文字を使って表されていた整式から具体的な数=式の値を求めることができるんだ。

一般化された式に数を代入することで具体化する,数学ではこうやって一般化と具体化を行き来することがよくあるよ。

もちろん,整式を代入することもあるからね。

例1)

$a= \displaystyle \frac{1}{2} $ のとき,$7a-3$ の式の値は,

$ \displaystyle 7 \times \frac{1}{2} -3= \frac{1}{2} $

となる。

$x=2$,$y=-3$ のとき,$3x-2y$ の式の値は,

$3 \times 2-2 \times (-3)=12$

となる。

式の値を求めるとき,式を整理してから数を代入するした方が計算しやすくなることがあるよ。

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整式の次数

【定義】

単項式の次数:単項式において文字が掛け合わされている個数

※数だけの単項式の次数は0であり,数「0」の次数は考えない。

整式(多項式)の次数:同類項をまとめて整理した整式(多項式)において,各項の次数のうちで最大のもの

$\boldsymbol{n}$ 次式:次数が $n$ の整式

降べきの順に整理する:整式をある文字について,項の次数が低くなる順に整理すること

昇べきの順に整理する:整式をある文字について,項の次数が高くなる順に整理すること

※一般に,降べきの順に整理することが多い。

次数というのは,その整式の軸となる指標。

感覚的には「次元が違う」というのと同じで,次数が変わればその扱い方も変わってくるんだ。

ちなみに,本当は $0$ 以外のすべての整式に次数があるんだけど,高校では $0$ 以上の整数の次数しか考えないよ。

次数に関しても気をつけたいのが特定の文字への着目。

整式 $-5xy^2+3x^3+4y^2-7$ の次数は,各単項式の次数( $-5xy^2$ は $3$ , $3x^3$ は $3$ , $4y^2$ は $2$ , $-7$ は $0$ )の中で最大の $3$ になる。

ここで $y$ について着目すると,各単項式の次数が変わる( $-5xy^2$ は $2$ , $3x^3$ は $0$ , $4y^2$ は $2$ , $-7$ は $0$ )から,整式の次数も最大の $2$ になる。

また, $y$ について着目して降べきの順に並べると,同類項をまとめるから, $-5xy^2+3x^3+4y^2-7=(-5x+4)y^2+3x^3-7$  となる。

教科書でも問題集でも,整式は基本的に降べきの順で表記されるから,暗黙の了解だと思ってそう並べるようにしよう。

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文字の活用

文字を使うと,

といったことができる。

例2)

  • $n$ 週間は $7n$ 日と表せる。
  • 連続する3つの整数は,整数 $n$ を用いて,$n$,$n+1$,$n+2$ と表せる。
  • $2$ 桁の自然数は,十の位の数を $a$,一の位の数を $b$ とすると,$10a+b$ と表せる。
  • 偶数は,整数 $m$ を用いて,$2m$ ,奇数は,整数 $m$ を用いて,$2m+1$ と表せる。
  • $x$ 円の $y$ %引きは $\displaystyle \frac{x(100-y)}{100}$ 円と表せる。

今までは別々に考えていたことが,文字を使うことで一気に整理されるというのは,すっきりして気持ちがいいものだよね?

こうやって文字を使って色々なことを一般化したものが定理や公式になっていくんだ。

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第4講のまとめ

整式の計算は数学における基礎。

整式を自由に操れないと,本当に考えたいところ以外の部分でつまずいてしまうからね。

第5講では(多項式) $\cdot$ (多項式) のような,もう少し複雑な計算をしていくんだけど,そこまでは冗談抜きで息をするように計算できるくらいになってほしいな。

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マイナスの世界 小学校まで使っていた数は,小数や分数も含めて上の図のような

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