関数の増減
関数 $f(x)$,$g(x)$ が閉区間 $[a,b]$ で連続,開区間 $(a,b)$ で微分可能であるとする。
- 区間 $(a,b)$ で常に $f'(x)>0$ $\Rightarrow$ $f(x)$ は区間 $[a,b]$ で増加 (逆は不成立)
- 区間 $(a,b)$ で常に $f'(x)=0$ $\Rightarrow$ $f(x)$ は区間 $[a,b]$ で定数
- 区間 $(a,b)$ で常に $f'(x)<0$ $\Rightarrow$ $f(x)$ は区間 $[a,b]$ で減少 (逆は不成立)
- 区間 $(a,b)$ で常に $f'(x)=g'(x)$ $\Rightarrow$ 区間 $[a,b]$ で $g(x)=f(x)+C$ ( $C$ は定数)
関数の極大と極小
【定義】
関数 $f(x)$ が連続で,$x=a$ を含む十分小さい開区間において
- 「$x\neq a$ ならば $f(x)<f(a)$」であるとき $f(x)$ は $x=a$ で極大であり,$f(a)$ を極大値という。
- 「$x\neq a$ ならば $f(x)>f(a)$」であるとき $f(x)$ は $x=a$ で極小であり,$f(a)$ を極小値という。
極大値と極小値をまとめて極値という。
関数 $f(x)$ が $x=a$ を境目として
- 増加から減少に移ると $f(a)$ は極大値
- 減少から増加に移ると $f(a)$ は極小値
【定理】
極値と導関数
関数 $f(x)$ が $x=a$ で微分可能であるとき
- $f(x)$ が $x=a$ で極値をとる $\Rightarrow$ $f'(a)=0$ (逆は不成立)
$x=a$ を含む区間で $f^{\prime\prime}(x)$ は連続であるとする。
- $f'(a)=0$ かつ $f^{\prime\prime}(a)<0$ $\Rightarrow$ $f(a)$ は極大値
- $f'(a)=0$ かつ $f^{\prime\prime}(a)>0$ $\Rightarrow$ $f(a)$ は極小値
関数の最大と最小
閉区間 $[a,b]$ で連続な関数 $f(x)$ の最大値・最小値は
- 閉区間 $[a,b]$ における極値
- 区間の両端 $f(a)$,$f(b)$
を比較して求める。
開区間 $(a,b)$ における $f(x)$ の最大値・最小値は
- 開区間 $(a,b)$ における極値
- 区間の両端の極限 $\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)$,$\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)$
を比較して求めるが,最大値・最小値が存在しない場合もある。
曲線の凹凸・変曲点
曲線 $y=f(x)$ は
- $f^{\prime\prime}(x)>0$ である区間:下に凸
- $f^{\prime\prime}(x)<0$ である区間:上に凸
【定義】
変曲点:曲線の凹凸が入れ替わる境目の点
※$f^{\prime\prime}(x)=0$ のとき
$x=a$ の前後で $f^{\prime\prime}(x)$ の符号が変わる $\Rightarrow$ 点 $(a,f(a))$ は変曲点
※点 $(a,f(a))$ が曲線 $y=f(x)$ の変曲点 $\Rightarrow$ $f^{\prime\prime}(x)=0$ (逆は不成立)
漸近線
関数 $y=f(x)$ のグラフにおいて
$\boldsymbol{x}$ 軸に垂直な漸近線
$\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)$,$\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)$ のうち,少なくとも1つが $\infty$ または $-\infty$ ならば,直線 $x=a$ が漸近線である。
$\boldsymbol{x}$ 軸に垂直でない漸近線
$\displaystyle\lim_{x\to \infty}\{f(x)-(ax-b)\}=0$ または $\displaystyle\lim_{x\to -\infty}\{f(x)-(ax-b)\}=0$ ならば,直線 $y=ax+b$ が漸近線である。
このとき,$\displaystyle{\lim_{x\to\pm\infty}x\left\{\frac{f(x)}{x}-\left(a+\frac{b}{x}\right)\right\}=0}$ から $\displaystyle{\lim_{x\to\pm\infty}\left\{\frac{f(x)}{x}-\left(a+\frac{b}{x}\right)\right\}=0}$ であるから,
直線 $y=ax+b$ が曲線 $y=f(x)$ の漸近線 $\Leftrightarrow$ $a=\displaystyle{\lim_{x\to\pm\infty}\frac{f(x)}{x}}$,$b=\displaystyle\lim_{x\to\pm\infty}\{f(x)-ax\}$
$a=0$ のとき,すなわち $\displaystyle\lim_{x\to\infty}f(x)=b$ または $\displaystyle\lim_{x\to -\infty}f(x)=b$ ならば,直線 $y=b$ が漸近線である。
関数のグラフの概形をかく手順
- 変域:$x$,$y$ の変域に気をつけてグラフの存在範囲を求める。
- 対称性:$x$ 軸,$y$ 軸,原点やその他の点・直線が対称の軸,中心でないか調べる。
- 増減・極値:$y’$ の符号の変化を調べる。
- 凹凸・変曲点:$y^{\prime\prime}$ の符号の変化を調べる。
- 漸近線:$x\to\pm\infty$ のときの $y$,$y\to\pm\infty$ のときの $x$ を調べる。
- 座標軸との交点:$x=0$ のときの $y$ の値,$y=0$ のときの $x$ の値を調べる。